ブラジャーから戦車まで

買出しこそ、新人の仕事である。


　というワケで、キャンペーンで使用する資材等々を新宿で探索する。


しかも、その資材が、半端ない量かつレア物。


なかなか、見つからない、見つからない。


　新宿アルタ前では、新歓コンパに胸踊らす、
学生たちが、あふれかえっている。


　俺も、こんな買出し、ブッチして、酒飲みてー。女の子とニャンニャンしてー。


「あー、あの頃が懐かしい。あの頃は、怖いモノな　しだった。」

なんて、回想したりするのも、つかの間。

現実に押し戻される。

まだ、半分しか調達できていない。


ヤバイ。ヤバイ。ヤバイ・・・・。


　結局、資材を全て調達し、プロダクションへの
配送手続きが、完了したのが、夜の8時過ぎ。


　当然、予定外の就業時間オーバーなので、残業はつかないだろう。まぁ、最初から期待していないけど。

新人だし。新人だし。．．．．しかも不景気だし。

それはさておき、とりあえず、会社に報告する。


しかし、買出しを頼んだ先輩は、既に帰社。


くそっ。


気を入れなおし、先輩の携帯に連絡。


swan「もしもし、swanですけど．．．
　　　遅くなりましたが、無事、配送しました。」

先輩「よく、やった。明日もガンバレよ。」


こんな会話をしている遠くの方から、


「乾杯〜。」


なんて、楽しげな声が聞こえる。


　そう、自分が新宿を右往左往し、人ゴミに紛れ、

　時には、これから出勤するキャバクラ嬢らしき女の子を目で追いながら、誘惑に戦いながら、


　資材調達に奔走している時、


　先輩はアルコールに包まれ、雄たけびをあげていたのだ。


くそっ。


というワケで本日の教訓。


　広告会社たるもの、クライアントもしくは先輩社員に頼まれたら、ブラジャーから戦車まで、何時何処でも、できる限り早く調達することが望まれる。