アイツが逝った

地元の団地の屋上から、ダイブしたらしい。


アイツは地元では有名だった。


小学校からスポーツ万能。

そして地元のトップ高校に進学。

顔もイケていた。

当然、人気もあった。


中学から私立だった自分は、

そんな彼と予備校で再会した。


彼の栄光に陰りが見えたのは一目瞭然だった。


目が完全に死んでいた。

何かにとりつかれたように、遠いのか近いのか、

よく分からない目つきだった。


その後、

脳の病気にかかり、それが原因で

鬱になったと噂で聞いた。


そして、

彼の話を次に聞いたのが、

一昨日の自殺だった。


なんだかよく分からなかった。


地元で連絡がまわるのが遅くて、

通夜には立ち会えなかった。


こんな日は地元の友達と酒でも飲みたかった。

電話で話した友達もそんな気分だったハズだ。


でも、

明日の仕事を考えると、酒は飲めなかった。


だから、

だから、

よく分からないけど、

彼のことを日記に書くことにした。

彼の栄光に満ち溢れた時の笑顔を思い出しながら。